市の名前が宗教法人の名前である、奈良県天理市。
天理教の信者が多く住んでいるのだろうから、天理市は人口減少はないのかな?と思い調べてみましたが、予想とは違い天理市においても、減少しているとのこと。天理教の施設や天理教の学校もある天理市。信者以外の在住もあるのも当然ですが、それでも、これだけ在住する目的がハッキリしている市においても人口減少を免れない現実。
若者世代を呼び込む施策、子育て世代を呼び込む施策・・・。果たして、施策が充実しているからと、本当に人口が増えるのだろうか。福祉が充実し過ぎた国は滅びると言われるように、福祉が充実し過ぎる自治体も同じことが言えるのではないか。そもそも、自治体間で人の取り合いをしているだけではないか。いつもこんなモヤモヤがあるのだけど、天理市長の所信表明が我が意を得たりだったのでご紹介します。ここまで現実を伝えてくださるとスッキリします。
以下、令和6年の所信表明より抜粋です。
「人口減少社会適応都市宣言」
地方都市の持続可能性は、有事だけでなく平時においても少子高齢化と人口減少の急速な進展という重大な危機に直面しています。多くの市町村が子育て施策の充実や企業誘致などにより、転出を抑え転入の増加を図っています。しかし、日本社会全体として山梨県や福井県の人口に相当する約80万人が昨年1年間で減少しました。社会増減ばかりを強調しても、単に人口が国内で水平に移動するだけでは課題解決とは言えません。
加えて福祉等のサービス充実による市町村間の競争には弊害もあります。地方交付税や起債の算定根拠となる地方財政計画では、全国の自治体が支出する投資的経費は平成9年度の31兆円から令和6年度12兆円へと6割以上減少しています。反対に、福祉等の経費は平成元年度12兆円から令
和6年度は3.6倍の約44兆円に激増しました。
高齢化の進展と少子化対策のため福祉関連経費は更に増加すると見込まれ、すでに圧迫されている投資的経費が更に減少すれば、老朽化する施設や道路等の安全確保も困難にならざるを得ません。人口の「取り合い合戦」に終始すれば、本市を含め多くの市町村が経常経費の高騰で行き詰まることが懸念されます。
少子化をもたらす大きな要因は、合計特殊出生率の算定対象となる女性が減少する「少母化」です。10年後には、15歳~49歳の女性の数は転入と転出がゼロと仮定しても
約1,200名減少します。そのため、出生率が相当程度上昇したとしても出生数の減少は継続します。我が国において2030年代以降に少子化に拍車がかかることが懸念されているのは、すでに生まれている女性数から少母化が避けがたい現実であるためです。
少子高齢化と自然減を合わせて、今後いっそうの人口減少は残念ながら継続するでしょう。もちろん市民サービスの充実や活性化を通じて、できるだけ抑制する努力は尽くします。同時に、
人口減少を厳然とした事実として正面から受けとめ、その上で、暮らしを支える行政サービスを持続可能なものにしていくことが私たちの使命です。
そのためには、意味のある変異をもたらさなければなりません。行政の内部あるいは様々なパートナーとの関係において「当たり前」だった役割のあり方も根本から見直し、政策間連携の連鎖の中で多様な価値を生んでいく必要があります。人口減少社会に適応した町にいち早くなること。それこそが厳しい変化の中で、住み慣れた地域で暮らし続けられる町として天理市が生き残ることに結果的につながると確信しています。令和6年度は改めてそのスタートと位置づけ、「人口減少社会適応都市」としての施策を以下ご説明します。https://www.city.tenri.nara.jp/material/files/group/70/shiseihoushinn.pdf